アンボワーズでの幸せな日々

PARTⅠアンボワーズへ
La Ville est tres calme.
Le matin, je me reveille par la sonnerie du cloche de l'eglese.
Le temps court doucement.


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 フランス・ロワール川沿いにあるアンボワーズはパリの南にあり、急行電車で約2時間半。人口1万人の小さな町です。
駅からメインストリートであるRue Nationaleまで徒歩で6,7分。そのRue Nationaleも肉屋や本屋、衣料品店やケーキ屋などの小さな個人商店が並ぶ、小さな商店街でした。
私のステイ先であるSahuc家はこの商店街の真ん中にあり、4階建てのビルの1,2階を銀行に貸しているという裕福な家。急な階段を昇った3階がリビング・ダイニング・夫婦の寝室、4階に4部屋があり、その1部屋にはドイツ人のクローディアが先客としていて、そして私が泊まる部屋があり、留学生専用にトイレとシャワーもありました。私がアンボワーズの駅を降りたのは11月の終わりの土曜日の午後。駅から歩いてSahuc家の住所に辿り着いたものの、玄関ベルを押してもウンともスンとも言わないので、仕方なく公衆電話を探して歩くと、家から3分のところにあるアンボワーズ城の下の広場に見つけました。ドキドキしながら電話をかけると「アロー」という明るいマダムの声。「今、お城の下にいる」と言うと「迎えに行くわ」との返事。私も今来た道を戻りながら、これから始まる2週間へ期待と不安、いや不安でいっぱいの胸のドキドキは最高潮に。10m先にショートヘアのすてきな女性が手を振って歩いてきてました。「すぐわかったわ!写真と同じよ!」。
 家にはマダム1人だけで、2ヶ月前からステイしているクローディアは月曜まで休みなので出かけているとのこと。マダムは家の中の案内と決まりごとを説明し、夕食は7時でそれまで疲れてるだろうから部屋で休みなさいと言われ、部屋で荷物の整理を簡単に片付けた後、時間は4時を少し過ぎたところでしたが、緊張が解けたのか眠気が襲ってきたので、一応目覚ましを夕食時間の5分前にセットし、ちょっとウトウトのつもりが熟睡してしまいました。
 目覚ましに起こされ、ボーっとした頭で3階に降りると、そこにはマダムと男性が1人。出発前にもらった書類にはステイ先の住所・電話番号、そしてホステスはMadame Sahucとしか書いてなかったので、てっきり彼女1人の家だと思い込んでいて、まだ夢の中の頭で「彼は誰?近所の人?それとも愛人?」と戸惑っていました。マダムが彼を紹介しているのにそれをしっかり聞けず、軽く会釈する程度で、今考えるととっても失礼な態度でした。でも、その時は「きっと愛人だわ!」ってすっかり思い込んでしまったわけで・・・。でも実際はこの家のれっきとしたご主人様、Monsieur Sahucで、彼らには25歳のすでに結婚して独立している息子がいて、かわいい孫までいるとのこと(冷蔵庫に写真が貼ってありました)。後で学校の友達に聞いた話では、その息子は超ハンサムだそうで、会えなくて残念(涙)!
 余談ですが・・・事前の書類に「Madame Sahuc」としかなかったので、とっても不安でした。「マダム○○」ってなんか「娼婦の館」みたいで・・・。当時大阪にいたダーリンに「Madame Sahuc」としか書いてないと言うと、なんと彼も「それ・・・娼婦の館みたいだな。お前、売られたりして・・・」って同じようなことを!!!
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アンボワーズ城から見た町 おもちゃの国か夢の国か?
ロワール川も見えます
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Rue Nationaleの入り口
 なぜ、突然こういうことになったのか・・・何事にも行動には理由があるもので、当時、ある出来事でショックとストレスで精神的どん底&ボロボロ状態の私は、このやり場のない思いをどうしようかと悩んでいたのですが、そんな時にふと秋の仏検のことを思い出し・・・酒やクスリや男におぼれることなく(?)勉強・勉強の毎日に。すばらしい!
それから約2ヶ月、朝6時から夜中の12時まで、勉強勉強勉強・・・。過去こんなに勉強したことがないし、ここまで勉強して受からなかったら誰にも顔向けできない(?)っていうくらい。学生時代はほとんど一夜漬けか運まかせ。でも学校を卒業して、社会人となって、RPGに手を染めてから「コツコツやる」ことを覚え、ここにやっと活かせて良かった(?)。その勉強中に「これだけやれば留学も夢じゃないかも?」と突然思いつき、「思い立ったら即行動」の私はいてもたってもいられず、翌朝友達が以前勤めていた「ユーロセンター」のオフィスを訪ねました。センターを訪ねたのは11月初め。検定試験が11月17日。大阪に単身赴任していたダーリンが東京に戻るのが12月末。そんな私にぴったりのコースが!「11月末から始まるアンボワーズ2週間コース」即決でした。本来ならステイ先をリクエスト(家族が多い家庭とか子供がいる家庭とか犬がいる家庭とか)するらしいのですが、もう1ヶ月を切っていたので、担当者に任せました。すぐに自分でエアの手配とパリのホテルの予約をして、あとは17日の試験まで再び勉強勉強の日々。
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Sahuc家の4階にある私専用の部屋
Sahuc家の入り口とクローディア⇒
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 「仏検」が終わり、出発の10日前に現地の情報が届きました。先にも書きましたが、ホステス:Sahucとしかなく、1人暮らしなんだ・・・と思っていました。センターの指示で、自己紹介と苦手な食べ物、そして写真(プリクラ)を送り・・・気がつくと、ほとんど準備してなかったのに気づき、あわてていろいろと買い揃え、バタバタとパリに出発しました。
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アンボワーズ城から見たロワール川
 金曜日、昼発のエアフラで17時パリ着。その日はパリに1泊して、翌朝アンボワーズに向かう予定にしていました。が、宿泊したホテルで、夜、急にアンボワーズに行くのが恐くなりました。知ってる人は誰一人いない、日本語は通じない・・・そんな現実が突然恐怖と不安になって、眠れなくなったのです。それまで準備期間もあまりなく、あわただしく出発したので、そんなこと考える時間もなかったんだと気がつきました。
 ほとんど眠れない夜を過ごし、朝を迎えても恐怖は募るばかり。このまま行かないでパリにいればいい・・・と悪魔のささやき(?)も聞こえました。お気に入りのホテル「メルキュール・オペラ・ガルニエ」のおいしい朝食もこの日ばかりは味もなく、手が少し震えていました。部屋に戻り「不安だけど、これは自分で決めたこと!!」って荷物をまとめ、気合を入れてホテルを出発しましたが、足は少し震えていました。
 地下鉄を乗り継ぎ、オーステルリッツ駅に向かいましたが、土曜日の朝の地下鉄はほとんど乗客はなく、途中の駅でいかにも危なそうな黒人が乗ってきて、座席はガラガラなのに、わざわざ赤いコートのおばさんの横に座り、おばさんは困っていました。3つめの駅でおばさんが降り、2つ先の駅でその黒人はくるっと後ろを振り返り私のところに寄ってきて、手で顔をなでて・・・私はどうすることもできず、ただ目を合わせないようにして、近寄ってきた手に顔を触られないように避けるだけで・・・(荷物もあるし、逃げるのは難しく)でもそれだけでその黒人は降りて行きました・・・ふう。でもそれで吹っ切れて(?)、更に気合を入れてオーステルリッツ駅でアンボワーズ行きのチケットを窓口で買い、列車に乗り込みました!
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ダイニングキッチンにて(とっても機能的!)
 ホームステイ初日の3人でのディナーは、スープから始まり、サラダ・メイン・デザートにはフルーツでした。これは最初の日の歓迎の食事っていうことではなく、毎日このフルコース!月曜日にプチ旅行から戻ってきたクローディアはベジタリアンなので、毎日、彼女は魚、私は肉。ある日のメインは鶏のローストでしたが、なんと足2本とも取り分けてくれて・・・そんなに食べられませんって!!
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冬のロワール川・・・泣きたくなるでしょ!?
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ブロワ城
 アンボワーズ2日目は日曜日。学校は明日から。家にいても仕方がないので、朝食を食べてすぐ、隣駅「ブロワ」にある「ブロワ城」に観光に行くことにしました。普段はロワールの城めぐりでたくさんの観光客が来るブロワ城もシーズンオフで閑散としていました。冬のヨーロッパらしいどんよりして今にも雨が降りそうな空。急に悲しくなりました。ステイ先の家族はとっても暖かく迎えてくれて、楽しく過ごせそうでしたが、やはり誰一人知っている人のいない土地で、あと2週間も暮らせるのか?過去、一番長い旅行は15日間でしたが、ダーリンと一緒だったわけで。
ブロワ城を一通り観光し終わると、雨が降ってきたので、駅に戻り、14時の電車まで時間があるので、駅のカフェテリアでランチを食べました。
 アンボワーズに着いたものの、まだ家に戻るのは早いし、雨もやんだので、ロワール川に行ってみることにしました。
 鉛色の空と冬枯れの木がロワール川の冬景色を一層美しいものにし、その景色は私の悲しい気持ちを更に助長してしまい、ついに高まりは止まらない涙になってしまいました。ダーリンに会いたい・・・。今何してるの?(きっと寝てると思うけど・・・)
 冬の冷たい風に涙も乾いた頃、Rue NationaleのSahuc家に戻りました。食卓は暖かく楽しく、寂しさはすっかりどこかに消えていました。


PartⅡ 学校

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